ゲーミフィケーション研修・人材育成・研修・組織開発・採用支援・効き脳診断など人事コンサルティングならベアラボ

アンケート結果から見えたコンプライアンスの理解と“判断の難しさ”―「知っているつもり」と現場判断のあいだに潜むリスク―

アンケート結果から見えたコンプライアンスの理解と“判断の難しさ”
―「知っているつもり」と現場判断のあいだに潜むリスク―

2020年のパワーハラスメント防止法施行以降、各企業で制度やルールの整備は着実に進んできました。
一方で、その内容を一人ひとりの意識や日常行動にどう落とし込むかという点は、今も現場の課題として残っています。

現場から聞こえてくるのは、
「知っているつもりでも判断に迷う」
「グレーゾーンが不安」
といった声です。

コンプライアンスは、単なる法令遵守にとどまるものではありません。
職場の信頼関係や心理的安全性を支える、組織運営の土台でもあります。
しかし実際の業務では、立場や状況、忙しさによって判断が揺らぐ場面も少なくありません。

株式会社ベアラボ(所在地:東京都新宿区、代表取締役:滝井順子)は、約600名が働く物流センターにおいて、毎年、全従業員を対象としたハラスメント・コンプライアンス研修を実施してきました。
今回、正社員・契約社員向け研修後に行ったアンケートをもとに、現場に潜む「理解と判断のあいだにある難しさ」を整理し、その結果を共有します。本アンケート結果からは、研修に対する高い満足度とともに、「理解しているつもりでも判断は難しい」「グレーゾーンへの不安が残る」といった、“知識と現場判断のあいだにある難しさ”に気づく声が数多く寄せられました。

■実施の背景
近年、企業を取り巻くコンプライアンスリスクは、法令違反や不正行為にとどまらず、「悪意のない過失」「良かれと思った行動」「空気を読んだ判断」など、日常業務の中に潜む“グレーな判断”へと広がっています。
特に、正社員・契約社員・パートなど、立場や役割の異なるメンバーが同じ現場で働く環境では、
・どこまでが許容されるのか
・相談すべきだったのか、自分で判断してよかったのか
といった迷いが生じやすく、結果としてリスクにつながるケースも少なくありません。
こうした背景を受け、ベアラボでは、知識の再確認にとどまらず、判断の難しさや心理的な揺らぎにも向き合うことを目的に、本研修を実施しました。

■研修の概要
本研修は、正社員・契約社員を対象に、以下の構成で実施しました。
・コンプライアンスの基本的な考え方(法令遵守に限らない広義のコンプライアンス理解)
・実際の現場に近い事例を用いたケーススタディ
・クレッシーのトライアングル(動機・機会・正当化)による背景理解
・コンプライアンス違反につながるリスクと、その防止に向けた考え方
・グループワーク・ディスカッションによる判断の言語化と共有
単に「正解・不正解」を学ぶのではなく、「なぜ迷ったのか」「なぜその判断に至ったのか」を振り返ることで、現場で起こりがちな判断の揺らぎを言葉にする設計としています。
研修テキストでは、身近な事例をもとに、コンプライアンス違反がどのような背景で起こるのかを整理し、個人の注意だけに頼らず、判断を誤りにくくする仕組みや、声を上げやすい環境づくりの重要性もあわせて取り上げました。

■アンケート結果
①研修の満足度
・「満足」:73.9%
・「やや満足」:23.2%
・「やや不満/不満」:2.4%
9割以上の受講者が肯定的に評価しており、内容・進行ともに高い評価が得られました。
②研修の理解度
・「十分理解できた」:50.7%
・「理解できた」:44.9%
・「あまり理解できなかった」:4.3%
多くの受講者が理解できたと回答する一方で、コンプライアンスの奥行きや判断の難しさを実感する機会となった様子がうかがえます。

■受講者の主な気づき(抜粋)
受講者からは、次のような声が寄せられています。
・知っているつもりでも、理解が不十分だったことに気づいた
・明確なNG行為は分かるが、グレーゾーンの判断は難しい
・良かれと思った行動が、違反につながる可能性があると感じた
・事例が身近で、自分の行動を振り返るきっかけになった
・困ったときに相談できる関係性や体制の重要性を再認識した
特に、「身に覚えのある場面があった」「過去の自分の判断を思い出してドキッとした」
といった声が多く、コンプライアンスを“他人ごと”ではなく“自分ごと”として捉える変化が見られました。
なお、本研修に先立ち、同じ現場ではパート社員向けのコンプライアンス研修も実施されています。
正社員・契約社員の受講者からは、部下がどのような内容を学び、どのような点に気づいているのかを知ることができた、メンバーのコンプライアンス意識を把握する良い機会になったといった回答も見られました。
研修内容が立場を越えて共有されていることで、日常の声かけや相談の場面でも共通の前提を持ちやすくなることが期待されます。

■考察と今後の展望
今回のアンケート結果から明らかになったのは、コンプライアンスは知識だけで完結するものではなく、日々の判断や心理、職場の関係性が大きく影響するテーマであるという点です。
ルールやマニュアルを理解していても、忙しさや立場の違い、周囲との関係性によって判断が揺らぐ場面は避けられません。
だからこそ、個人の意識任せにするのではなく、迷いや違和感を言葉にし、相談できる環境を整えていくことが重要になります。
ベアラボでは、今回の結果を踏まえ、コンプライアンス研修を「一度きりの学習」で終わらせず、現場の判断や行動につながる学びとして定着させる支援を続けていきます。
今後も、業界や雇用形態を問わず、現場で起こり得る“迷い”や“判断の揺らぎ”に向き合い、安心して相談できる職場づくりを、研修を通じて支援してまいります。