
“教えているのに伝わらない”はなぜ起きるのか― OJTにおける“認識のズレ”と関わり方の再設計 ―
株式会社ベアラボ(所在地:東京都新宿区、代表取締役:滝井順子)は、OJTトレーナー研修を通じて、現場で頻発する「教えているのに伝わらない」という課題の背景にある構造が見えてきました。
- 【背景】
- 新年度を迎えるこの時期、多くの企業で新入社員の受け入れ準備が進められ、OJTによる育成体制の整備が行われています。
- 一方で、そのように体制が整えられているにもかかわらず、実際の現場では、
- 「説明したはずなのに理解されていない」
- 「伝えたつもりでも行動が変わらない」
- といった状況が生じています。
- 指導は行われているものの、その意図や内容が十分に伝わらず、育成が“実施されている状態”にとどまってしまっているケースも少なくありません。
- 【課題】
- こうした状況の中で見えてくるのは、「教えたかどうか」と「伝わったかどうか」が一致していないという点です。
- 多くの現場では、「教え方」や「説明の仕方」に焦点が当てられがちですが、実際には、相手がどのように理解しているかまで十分に捉えられていません。
- また、業務の背景や意味が共有されないまま指示が行われることで、「言われたことは実行できるが、自ら考えて動くことができない」という状態も生まれています。
- こうしたズレの背景には、人それぞれで異なる理解の仕方や判断基準、いわゆる思考特性の違いが影響している可能性があります。
- 【研修概要】
- ベアラボのOJTトレーナー研修では、OJTを単なる業務指導ではなく、「考え方の軸を育てるプロセス」として位置づけています。
- 研修では、
- ・思考特性の理解
- ・分かりやすい説明・指示の出し方
- ・承認やねぎらいを通じて、安心して行動できる関係性のつくり方
- ・報連相を引き出す関わり方
- などを通じて、「どう教えるか」ではなく「相手がどう理解するか」という視点から関わり方を見直します。
- また、「やって見せる → やらせてみる → フォローする」という基本プロセスに加え、業務の進め方だけでなく“なぜその業務を行うのか”という考え方を併せて伝えることを重視しています。
- こうした関わりを通じて、単に指示を理解するだけでなく、背景や意図を踏まえて自ら判断し行動できる状態、いわゆる“自走”につながる育成を目指しています。
- 【受講者の声】
- 研修を通じて、受講者からは以下のような気づきが挙がりました。
- ・「教える立場にあるものの、何をどう伝えるべきか整理できていなかった」
- ・「相手に合わせているつもりでも、自分の視点で伝えてしまっていた」
- ・「指導する側として、報連相を受ける立場になったときに、必要な情報やタイミングを十分に引き出せていなかった」
- ・「新人の頃に感じていた不安を思い出し、関わり方を見直す必要があると感じた」
- これらの声からは、“できているつもり”と“実際に伝わっている状態”の間にギャップがあること、そしてそのズレに気づかないまま指導が進んでしまっている実態がうかがえます。
- 【考察】
- これらの背景にあるのは、教え方のスキル不足ではなく、“伝えた側”と“受け取る側”の認識のズレです。
- 特にベアラボでは、このズレの要因の一つとして、思考特性の違いに着目しています。
- 人はそれぞれ、情報の受け取り方や理解の仕方、判断基準が異なります。
- 例えば、全体像を把握してから理解したい人もいれば、具体的な手順から理解したい人もいます。そのため、同じ説明や指示であっても、受け取り方に差が生まれます。
- 重要なのは、「伝わらない」という状態が特別なものではなく、日常的に起こり得るものであるという点です。
- 多くのOJTは“同じように理解されること”を前提に進められていますが、その認識がズレを生み出している可能性があります。
- また、適切なフィードバックや承認の積み重ねが、安心して報連相できる関係性を生み、そのズレを埋めていく働きをします。
- 育成の成果は、個人のスキルだけでなく、関わり方・関係性・そして組織としての設計によって左右されます。
- 【今後の展開】
- ベアラボでは、OJTを「やり方」ではなく「理解して実践できる育成の仕組み」として再設計する支援を行っています。
- 今後は、個々の指導スキルに依存するのではなく、認識のズレを踏まえた関わり方や育成設計の支援を強化していきます。
- また、思考特性や関わり方の違いを踏まえた実践的な研修を通じて、現場で再現可能な育成の仕組みづくりに貢献してまいります。