
「教えているのに、伝わらない」OJT実施企業は6割も、人材育成に悩む職場が8割を超える理由 ー最新調査と研修現場から考える、現場に必要な“教える力”と“関わる力”とはー
- 厚生労働省が2026年7月31日に公表した令和7年度「能力開発基本調査」によると、正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所は60.6%でした。一方、能力開発や人材育成に関して「何らかの問題がある」と回答した事業所は80.1%にのぼっています。
- OJTは多くの職場で行われている一方、「OJTを実施すること」と「実際に人が育つこと」は、必ずしも同じではありません。
- 株式会社ベアラボ(所在地:東京都新宿区、代表取締役:滝井順子)は、OJTトレーナー研修をはじめとした人材育成支援を行う中で、
- ・説明したはずなのに理解されていない
- ・伝えたつもりでも行動につながらない
- ・誰が、どこまで教えるのかが曖昧になっている
- ・忙しく、十分に教える時間が取れない
- といった現場の課題に向き合ってきました。
- そこでベアラボが重視しているのが、OJTを単なる「業務の教え方」として捉えるのではなく、相手の理解を確認しながら、自ら考えて行動できる状態まで支援する人材育成のプロセスとして捉えることです。
- ■OJTを実施していても、人材育成の課題は残っている
- 同調査では、正社員への計画的なOJT実施率が前年度から低下する一方、能力開発や人材育成に「何らかの問題がある」とする事業所は8割を超えています。
- もちろん、この数字だけで「OJTが機能していない」と判断することはできません。しかし、OJTが多くの職場で行われている一方で、人材育成そのものには依然として多くの事業所が課題を感じていることが分かります。
- ベアラボが研修を行う現場でも、
- 「初日に一通り業務を説明して、その後は本人に任せている」
- 「教えたい気持ちはあるが、誰が担当するのか明確ではない」
- 「自分の仕事もあり、十分に教える時間が取れない」
- といった声を耳にします。
- OJTを「現場で仕事を教えること」だけで終わらせず、誰が、何を、どのように教え、どのように成長を確認していくのか。
- そのプロセスまで考える必要があります。
- ■「教えた」と「伝わった」は同じではない
- OJTで起こりやすいのが、指導する側の「教えた」と、教わる側の「理解した」の間に生じるズレです。
- 例えば、
- 「説明したから分かっているはず」
- 「一度見せたから、次からはできるはず」
- 「分からなければ本人から聞いてくるはず」
- と思っていても、相手が同じように理解しているとは限りません。
- また、人によって情報の受け取り方や理解しやすい順番も異なります。
- 全体像や目的を理解してから動きたい人もいれば、具体的な手順を一つずつ確認したい人もいます。相手に合わせているつもりでも、実際には「自分が教わって分かりやすかった方法」で教えていることもあります。
- だからこそOJTでは、「何を教えたか」だけではなく、「相手にどう伝わったか」「どこまで理解できているか」まで確認することが重要になります。
- ■ベアラボが考える、OJTに必要な「教える力」と「関わる力」
- ベアラボのOJTトレーナー研修では、OJTを単なる業務指導ではなく、相手が仕事の背景や目的を理解し、自ら考えて行動できるようになるまでを支援するプロセスとして捉えています。
- そのために重視しているのが、仕事を分かりやすく伝える「教える力」と、相手を理解し、成長を支える「関わる力」の両面です。
- 研修では、講義だけでなく、ディスカッションやグループワーク、体験型の演習を取り入れながら、日頃の教え方や関わり方を振り返ります。
- 主に扱う内容は次の通りです。
- ・OJTの基本的な進め方
- 「教える・見せる・やらせる・振り返る」を通じて、継続的に成長を支援する
- ・思考特性を踏まえた関わり方
- 相手によって異なる情報の受け取り方や、理解しやすい伝え方を知る
- ・説明・指示の出し方
- 「伝えた」で終わらず、相手が理解し行動できる伝え方を考える
- ・傾聴・質問と報連相
- 相手の考えを引き出し、相談・報告しやすい関係性をつくる
- ・承認・褒め方・叱り方
- 日頃の承認と信頼関係を土台に、成長につながるフィードバックを考える
- また、業務の「やり方」だけでなく、「なぜその業務を行うのか」まで伝えることも重視しています。
- 指示されたことができる状態で終わるのではなく、背景や目的を理解し、状況が変わっても自ら考えて判断・行動できる状態へ。こうした“自走”につながる人材育成を目指しています。
- ■受講者の声から見えてきた「教える側にも学びが必要」ということ
- 実際のOJTトレーナー研修では、受講者から、
- 「教える立場にあるものの、何をどう伝えるべきか整理できていなかった」
- 「相手に合わせているつもりでも、自分の視点で伝えてしまっていた」
- 「新人の頃に感じていた不安を思い出し、後輩の立場を意識して関わっていこうと思った」
- 「相手の話を聞いているつもりでも、自分の考えを押し付けていたかもしれない」
- 「新人社員とのコミュニケーションが苦手だったが、少し自信が持てた」
- 「相手のタイプを踏まえて、関わり方を工夫していきたい」
- といった声が寄せられています。
- こうした声から見えてくるのは、OJTを担う人自身も、必ずしも「人への教え方」を学んできたわけではないということです。
- 経験を積み、仕事ができるようになることと、その経験や知識を相手に合わせて伝え、成長を支援できることは別の力です。
- 「仕事ができる人だから、教えることもできる」とは限りません。
- OJTを任せるのであれば、教わる側だけでなく、教える側にも学ぶ機会をつくることが必要だとベアラボは考えています。
- ■OJTを「誰かが教える」から「組織で育てる」へ
- OJTは、担当者一人の経験や感覚だけに委ねるものではありません。
- 誰が教えるのか。
- 何をどこまで教えるのか。
- どのように成長を確認するのか。
- 困ったときには誰がフォローするのか。
- こうした育成の前提を組織として共有することで、指導者によるばらつきや属人化を減らし、継続的な人材育成につなげることができます。
- また、OJTを担うことは、若手・中堅社員自身にとっても、相手を見る力、伝える力、質問する力、フィードバックする力を身につける機会になります。
- OJTは、新人や若手を育てるためだけのものではなく、「教える側も育つ仕組み」になり得ます。
- ベアラボでは今後も、OJTトレーナー研修をはじめ、思考特性を活用したコミュニケーション研修や管理職研修などを通じて、「教え方」という個人のスキルだけに依存しない人材育成のあり方を伝えてまいります。
- OJTを「誰かが教えること」から「組織で人を育てること」へ。 それぞれの企業の組織風土や人材構成、育成課題に合わせながら、教える側・教わる側の双方が成長できる人材育成の仕組みづくりを支援してまいります。