
新入社員が「相談できない」のはなぜか ― GW明け以降に増える“静かな孤立”と職場構造に着目 ―
- 株式会社ベアラボ(所在地:東京都新宿区、代表取締役:滝井順子)は、新入社員および若手社員を対象とした各種研修を実施する中で、「確認したいが聞けない」「困っていても相談できない」「一人で抱え込んでしまう」といった課題が、配属後の現場で多く見られることに着目しました。
- こうした状態は、本人の性格や意欲の問題として捉えられがちですが、実際には“職場の空気感”や“関わり方の構造”によって生まれているケースも少なくありません。
- 当社では、こうした背景を踏まえ、「相談できない状態」がどのように生まれているのかを整理し、特に上司や先輩社員が「どのような関わり方をすることで、新人が相談・報告しやすくなるのか」を見直すための研修を提供しています。
- ■ 背景
- 新卒社員の早期離職は、多くの企業で継続的な課題となっています。2026年5月に公開された調査では、新卒社員の約6割が「入社後に辞めたいと思ったことがある」と回答しており、その時期は「入社直後〜1か月以内」や「GW明け」に集中していることが分かっています。参考資料:株式会社DYM「新卒社員の早期離職に関する調査」(2026年5月公開)
- また、約3割が「相談できる相手がいない」と回答しており、孤立感やコミュニケーション不足が早期離職の背景にあることも示されています。
- 実際の現場でも、5月後半から6月にかけては新入社員の業務が本格化する一方で、受け入れる上司や先輩社員側も新年度業務や教育対応によって余裕を失いやすい時期です。
- お互いに余裕がない中でコミュニケーション不足や認識のズレが起きやすくなり、これが新人の「聞けない」「確認できない」といった状態につながっています。
- ■ 課題
- 新人が相談をためらう背景には、個人のマインドだけでなく、以下のような「声を上げづらい職場構造」が複合的に存在しています。
- 1.タイムリーに話しかけられない: 上司や先輩が忙しそうに見え、タイミングを計れない
- 2.判断基準の不一致: 先輩や上司によって言うことが異なり、何を信じればよいか分からない
- 3.目的の共有不足: 業務の背景(なぜやるか)が共有されていないため、自分で考える基準がない
- 4.「自走」のプレッシャー: 「まずは自分で考えるべき」という空気が強く、相談が「甘え」に思えてしまう
- 5.世代間の前提認識ギャップ: 世代間で仕事に対する価値観や、当たり前の基準が異なる
- 現場では「最近の若手は自分から聞いてこない」「Z世代は何を考えているか分からない」といった声が挙がることもありますが、こうした背景には、若手個人の問題だけではなく、構造的なズレや関わり方の違いが影響しているケースも少なくありません。
- ■ 研修を通じて見えてきた実態
- 当社の新入社員向けフォロー研修では、実際に現場に配属されたからこそ感じる、リアルな声が数多く挙がっています。
- 【新入社員のリアルな声】
- 「同じことをしているのに、人によって注意される人とされない人がいて基準がわからない」
- 「先輩によって言っていることが違い、何を基準に動けばよいか迷ってしまう」
- 「作業に不安があったが、上司に聞くと怒られそう、呆れられそうで迷ってしまった」
- 「些細なミスだし、これくらいで報告して手を止めさせるのも申し訳ないと思ってしまった」
- 「報連相は部下だけでなく、上司側からのアプローチや、もっと相談しやすい関係性が必要だと思う」
- という声が挙がっており、職場全体の関わり方を見直す必要性が浮き彫りになっています。
- ■ 研修概要
- 本研修では、OJT担当者や上司・先輩社員を対象に、体験型ワークやディスカッションを通じて、「新人がなぜ相談をためらうのか」を整理し、 “相談・報告しやすい関わり方”について見直します。
- 具体的には、
- ・相談しやすい関わり方の習得:報連相の受け止め方や、新人の些細な変化への気づき方を整理
- ・思考特性による認識ギャップの解消:世代や個人のタイプによる「受け取り方の違い」を理解
- ・自発性を促す環境づくり:業務の背景や目的を正しく共有し、新人が判断に迷わないための土台
- などを通じて、現場でのコミュニケーション改善につなげます。
- また、新入社員や若手向けの研修でも「抱え込まずに相談する重要性」を伝えており、受け入れ側と新入社員側の双方向から、コミュニケーションを取りやすい環境づくりを促します。
- ■ 考察
- 新人が「相談できない」状態は、単なる積極性や性格の問題ではなく、環境によって引き出されているものです。特に「これくらい分かるだろう」「まずは自分で考えて」といった従来の関わり方は、思考特性や前提知識の異なる新入社員にとっては不安や萎縮につながるケースが少なくありません。
- この状況を「最近の若手は…」という世代論だけで捉えてしまうと、相互理解が進みにくくなり、認識のズレを広げてしまいます。
- だからこそ今、組織に求められているのは、「相談できる相手(メンターなど)がいるか」という個人レベルの話にとどまらず、誰もが安心して発言・相談できる職場環境になっているかを、組織全体の仕組みとして見直すことです。
- ■ 今後の展開
- ベアラボでは、新入社員の課題を本人のマインドだけの問題として捉えるのではなく、職場の関わり方や環境によって生まれる課題として捉え直す取り組みを広げてまいります。
- 今後は、新入社員研修とOJT担当者・管理職向け研修を連動させ、現場の受け入れ側と若手社員が「共通の言語と判断基準」を持って対話できる関係性づくりを支援します。誰もが孤立せず力を発揮できる職場環境の実現に向けて、それぞれの企業に深く伴走してまいります。