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部下から「それってパワハラですよね?」と言われたら?管理職が考えたい適切な指導のあり方

部下から「それってパワハラですよね?」と言われたら?管理職が考えたい適切な指導のあり方

部下への指導をめぐり、「これってパワハラになるのでは?」と不安を感じたことはありませんか。

実際に管理職向けのハラスメント研修では、「何を言ってもパワハラと言われそうだから、もう何も言わない方がいいですね」という声を耳にすることがあります。

しかし、管理職には部下を指導・育成する役割があります。パワハラを恐れるあまり、必要な指導まで控えてしまうことが、本当に望ましいのでしょうか。

今回は、部下から「それってパワハラですよね?」と言われたケースをもとに、適切な指導のあり方について考えてみたいと思います。

■ 「パワハラですよね」と言われたら、指導をやめる?

  • ある職場で、期限遅れが続く部下に改善を求めたところ、毎回「それってパワハラですよね?」と言われるようになりました。
  • このようなとき、管理職としてどう対応すればよいのでしょうか。

今後の注意を控える、必要な指導だからと同じやり方を続ける、あるいは指導を拒否したとして人事評価に反映するなど、さまざまな対応が考えられます。

しかし、まず必要なのは、指導の目的と伝え方を分け、事実に沿って振り返ることです。

業務上必要な指導までやめる必要はありません。一方で、必要な指導だからといって、どのような伝え方をしてもよいわけではありません。

■ 適切な指導とパワハラ、その違いは?

厚生労働省では、職場のパワーハラスメントについて、次の3つの要素をすべて満たすものとしています。

  1. 優越的な関係を背景とした言動
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
  3. 労働者の就業環境が害されること

ここで知っておきたいのは、パワハラは必ずしも上司から部下への言動に限らないということです。業務上の知識や経験などによっては、同僚間でも優越的な関係が生じる場合があります。

  • また、部下が不快に感じたからといって、すべての指導が直ちにパワハラになるわけではありません。
  • 言動の目的や内容、伝え方、状況などを総合的に考える必要があります。

大切なのは、指導をするかしないかではなく、業務上必要なことを適切な方法で伝えられているかということです。

■ 必要な指導はやめない。伝え方は選ぶ

  • 例えば、部下の提出期限遅れが続いている場合、管理職が伝えるべきなのは、期限が守られていないという事実と、求める改善内容です。
  • その際には、なぜ期限を守る必要があるのか、業務にどのような影響があるのかも伝えることが大切です。

一方で、「何度言ったらわかるんだ」「だからあなたはダメなんだ」といった人格を否定するような言葉や、大勢の前で叱責することは避けなければなりません。

以前は、朝礼などでミスをした社員を皆の前で注意することもありました。しかし、指導の方法や受け止め方は、時代とともに変化しています。

「何を伝えるか」と「どう伝えるか」を分けて考えることが、適切な指導の第一歩です。

■ 指導は「伝える」だけでなく「聞く」ことも大切

指導というと、管理職から部下へ改善点を伝えることをイメージしがちですが、一方的に伝えるだけでは十分とはいえません。

例えば、期限遅れが2回続いている部下に対しては、まず事実を確認し、なぜ期限を守る必要があるのかを伝えます。

そのうえで、「何が難しかったのか」「何かサポートできることはあるか」と背景を聞き、次に向けた具体的な行動や確認日を決めていきます。

管理職の頭の中では、仕事の完成形や求める水準が明確になっていても、それが部下に十分伝わっているとは限りません。

だからこそ、指導は一方的に伝えるのではなく、「伝える」と「聞く」を繰り返すことが大切です。

■ 良かれと思った長時間の指導が、問題になることも

実際にベアラボのクライアント企業でも、指導の方法が問題になったケースがありました。

  • ある管理職は、部下の成長を思い、自身の経験や成功事例を交えながら、毎回1〜2時間ほど指導を行っていました。しかし、その長時間にわたる指導が、結果としてハラスメントとして問題になったのです。
  • さらに、問題を訴えたのは指導を受けた本人ではなく、周囲の社員でした。
  • この事例からも、良かれと思って行った指導が、必ずしも相手や周囲に同じように受け止められるとは限らないことがわかります。
  • 必要な指導であっても、その内容だけでなく、伝え方や時間、周囲への影響にも配慮することが大切です。

■ 管理職一人に、指導の負担を背負わせない

パワハラを防ぎながら適切な指導を行うためには、管理職個人の判断や経験だけに頼らないことも重要です。

例えば、指導の判断基準を組織で共有すること、問題をため込まず短くこまめに伝えること、必要に応じて記録を残し、相談できる体制を整えることなどが挙げられます。

ベアラボでも、実際の職場で起こり得る事例をもとに、「自分だったらどう伝えるか」「どこまでが適切な指導なのか」を考える研修を大切にしています。

同じ事例でも、人によって判断や伝え方が異なることがあります。だからこそ、意見を交わしながら、組織としての共通認識を持つことが必要です。

「何も言わない」か「強く叱る」かの二択ではなく、必要なことを適切に伝え、相手の話も聞きながら改善につなげること。

  • パワハラを防ぐことと、部下を育成することは、決して相反するものではありません。
  • 自社では、管理職が安心して適切な指導を行える環境が整っているか、改めて振り返ってみてはいかがでしょうか。